「何考えてる?」
そう声をかけられて、なんと答えようか考える。
自分のお腹の奥に他人の熱が存在する感覚に浮かされながら、同時にひんやりとした脳みそで汗ばんだ肌のしっとりとした感覚に他者性を感じ、あなたのほくろの色っぽさに思いを馳せていました。脱がないとわからない位置にあるそれを私だけが知ってるなんて思わないけど、どれだけの人が私と同じ目でこのほくろを見つけたんだろうと、腰を揺らして考えてました。
どう答えてもお好みではない気がする。目の前の相手に集中してないのは結局一緒だ。今だってこの真っ白なシーツを後で洗濯しなくちゃと考えている。
「もっと動いてって、考えてる」
嘘でもないけれど全てでもない答えは相手のお気に召しただろうか。どうであれ私は教える気もなかったのでただ伝わってくる感覚に今度こそ身を任せた。
(溶け合う肌)