太刀川慶/WT
小さく声を漏らし、ふるりと体を震わせた相手はぐたりとしてしばらく。私の中から抜け出しごそごそした後に横でごろりと仰向けになった。
「いやいやいやいや慶ちゃんちょっと待て」
「んー?」
その返事の気の抜け方に思わず顔をしかめた。上体を起こし返事通り一息ついている相手に眉間の皺がさらに刻まれる。
「一人だけ満足するのなしでしょ」
「んー」
「オイコラ」
ムカついて仰向けでだらける慶ちゃんに覆いかぶさり、遠慮はいらないなとお腹の上に乗ってやった。
「おおー」
「なに」
「良い眺めだなと」
「……やる気出た?」
「このまま攻められたらやる気出そう」
「こんにゃろ」
怠惰な相手に一泡吹かせてやろう。私はにこりと笑い、とりあえず脇腹の弱いところをくすぐることにした。