出水公平/WT


 たまに、伸ばす手を躊躇うことがある。あれ、おれのこの手は人を守ってるけどそういやいろんなもの壊してんな、と。そんなことは普段考えもしないのに大切な彼女がにこにこして可愛いなあと手を伸ばす時に限ってよぎるのだ。たまたま人以外を壊してるだけでもしかしておれは。

「公平?」

 らしくもない躊躇いはどうかしたのかと平気で頭を撫でてくる相手によって霧散する。

「なんでもない」

 らしくないことを考えるぐらいには大事らしくて照れ隠しに彼女の髪をくしゃくしゃに撫でつけたらセットが崩れるって殴られた。痛かった。