「ちゃん、今日の英語教えてください!」
「例のものは」
「もちろん、ここに!」
すっと彼女の目の前に出てきたのは購買で入手が難しい“こだわりクリームパン”だ。毎日限定10個の人気商品だ。
「よし、ここに」
「ははー!」
「うるさいのだよ」
昼休みに入って間もなく目の前でよくわからないやり取りをされる緑間は心底呆れ顔だが本人たちはお互い満足そうにしている。
「まあ緑間もいい加減諦めなよ。これ三年間続くから」
「なにそれオレたちの絆の強さを今から認めてくれてる?」
「高尾……うるさい」
「どちらもうるさいといっているのだよ」
お前ら三人がうるさいよ、とは言えないクラスメイトたちの心の声を三人は気づいているのかいないのか、今日もなんだかんだ一緒にお昼を食べている。
(なかよしこよし)