鼻唄混じりの登校は、一週間の始まりである月曜のものにしては陽気だった。すいすいと道を走り抜ける鼻唄混じりの自転車に追い抜かれた人の中にはその軽快さに思わず笑みを浮かべる者もいる。
 自転車はそのまま快走を続けるかと思いきや何かを見つけるとスピードを緩めて、乗っていた彼女はひょいと自転車をおりた。
「かーがみー! おはよ!」
「うお?!」
 背後に降りるなりその手を軽やかに大きな背中に命中させる。強すぎはしないが突然の衝撃に声をかけられた方は思わず声が上がる。
 振り返れば月曜から明るく笑うクラスメイトがいた。
「朝から相変わらずハイテンションだな」
「学校好きだもんね! 学校来たらみんなに会える!」
 気だるげな顔をしているものもいる中で彼女は元気はつらつである。火神も思わず笑うほどに。
「ほんと学校好きなんだな」
「うん! あ、ちゃんとその中に火神も入ってるから安心してね!」
「おー、サンキュー」
「もっと女子からの好意はありがたく受けとりなさいよー」
「アリガタイ」
 棒読みの火神に彼女まあ許しましょうと、けらけら笑った。掛け値なしの本音があちこちにちりばめられているのだが、火神は気付く様子もない。彼女は小さな遊びが今日も成功したと小さな笑いをこぼした。
 微かに光る月曜の朝のこと。


(輝く朝)