休みの朝、ホームでぼんやりと電車を待つ。
行くのは学校。休みだけれど今日も制服で、そうなると私服を着る機会は減ってしまったけれど、そんな毎日も悪くない。
中学でもしていたバスケ部のマネージャーを、同じ中学の同級生に誘われて続けたことは良かったと思う。大変なこともあるけれど部活のメンバーとはみんな仲良しだし、大変なことよりも楽しいことがもっとたくさんある。
学校に着いたら、と電車が来るまでの間に朝の行動計画を立てていたら不意に隣に人が立っていた。他人にしては近いなと思って隣を見ればなんだ、見知った人だった。
「、やっぱり早い便だった」
「伊月くんじゃん。おはよう」
「おはよう」
中学から高校まで一緒にバスケ部で頑張ってる伊月くんはいつもより早起きしたからか眠たげで、かわいくてつい笑みがこぼれる。
「朝練前の朝練?」
「と、うちのマネージャーの早起きの確認かな」
一番乗りの体育館は私の密かな楽しみだけどまさかそれが気にされてるとは思わなかった。
ふあ、とあくびを噛み殺す伊月くんはいつもよりも少し雰囲気がゆるやかだ。
「こんなに早いと思わなかった」
「早起きは三文の徳だよ」
私にとってみれば今日は伊月くんの寝ぼけ眼が見られたわけだし。
ふふ。一人笑えば訝しげな伊月くん。
「今日はいいことありそうだなあ」
「?」
そのあと電車でちゃっかり隣に座って見た外の景色はいつもよりなにかを期待したくなるように明るく見えた。
(はじまりの朝)